一生に一度の大きな買い物と言って良い新築マンションの購入。購入に踏み切るまで大変な決断だったでしょうし、苦労して手に入れた大事な宝物ですね。
その大事な宝物であるマンションのオーナーになった、あなた。入居前に大仕事があります。それは「入居者検査」。だけど何をチェックすれば良いの?分からない方が多いと思います。
初めての検査の方が殆どでしょうし、入居後に傷を見つけても引っ越しの時に付けた傷かもしれないし・・・
100戸超の大型マンションを1件1件チェックした経験を持つ、元現場監督のYasから、チェックポイントをお教えしたいと思います。
入居者が購入したモデルケースとして3LDK、アルコーブ付きの物件とします。
以下の項目では部屋ごとに具体例を示しながらチェックポイントを説明します。
玄関ドアの前にあるスペースの事です。スキップフロア型のマンションですと門扉付きのものが多いです。基本的には共用スペースですが、入口として使用するので実質専用部分として使いますから、アルコーブの床にコンクリート打設時の汚れが付着してないか?門扉付きであれば扉を開いた時に開ききった時の当たりが適切な位置に設置してあるかがチェックポイントとなります。また玄関ドアの上部や共用廊下側の給気口が曲がって設置してないかも見ておきましょう。
玄関ドアは家の顔となる部分なので、傷、音鳴り、カギを回す時に引っかかりがないかを見ておきます。玄関床はタイル張りのケースが多いですが、表面キズ、目地に穴がないか、框の傷、傾き、曲がりもチェックします。
コンクリート打ち放しのケースが多いと思いますが、クラック(ひび割れ)がないか、床目地、天井目地もキレイな仕上がりか見ましょう。手摺は金属製のものがある場合は少しチカラを込めて揺らしてみて、ガタツキがないかもチェックします。コンクリートの手摺下部に水抜き孔がある時は穴が塞がってないかも見ましょう。洗濯干しのブラケットがガタつかないか、避難はしごのフタが凹んでないかも見ましょう。
玄関側からとリビング側からの両側から光の加減を利用して、壁のボードに歪みがないか、巾木が浮いてないかをチェックします。
広いスペースですからよく歩いてみて、床の不陸を足の裏の感覚でチェックします。よくテレビでビー玉を持って来て転がるかどうかのチェックを入居者がやる場合もありますが、1メートルの2点間で高低差が3ミリ以内であれば問題なし、5ミリ程度であればコンクリートの不陸がフローリングの高低に影響を与えているので床の仕様で仕方ありませんとデベロッパーや施工会社から説明を受けると思います。したがってコーナー部分に極端な不陸が存在する可能性が高いので、その場合はチェックしましょう。
リビング・ダイニングというように一体になっているケースが多いので、リビングと同様にチェックして下さい。
ガスコンロ正面の壁に不燃仕様のキッチンパネルが貼ってある場合、浮きがないか直接手で触ったり、端の部分から接着糊がはみ出ていないかもチェックして下さい。タイルの場合は目地が綺麗に押さえられているかを見て下さい。
便器と床の取り合い部分が綺麗に仕上げられているかチェック。トイレットペーパーホルダーのガタツキが無いかチェック。
洗面台と壁の間にコーキングが処理されている時は、穴や切れている部分がないかチェック。
ユニットバスになっているケースが殆どだと思うので、鏡や浴槽など施工中傷がついた箇所がないかチェック。
畳の段差がないか確認。襖(ふすま)がスムーズに動かせるかチェック。
カーペットに段差がないか確認。クローゼットの折れ戸がスムーズに動かせるかチェック。
スイッチ部にトイレや洗面脱衣室の表記がされている場合は曲がっていないかチェック。以前電気屋さんが一つ一つにネームの紙をスイッチに入れながら作業していたので、曲がっていたケースがありました。スイッチプレートの汚れや曲がり、浮きがないかチェック。
搬入や施工中の出入りで傷つきやすいのが室内ドアです。表裏くまなく確認して下さい。ドアが開けづらい時は強度を微調整出来るので、その力加減もチェックして下さい。
ドアやクロスは補修出来る可能性がありますが、鏡の傷は製品の取替が必要なので、くまなくチェックして下さい。
フローリング材の下にはクッションになる材質が貼られているので、素足で歩いた際はフワフワという感じがします。中にはそのクッションが感じられない箇所があるかもしれないので、全体的に歩いてチェックして下さい。また壁際の巾木とフローリング材が擦れて音が鳴る場合もあるので、壁際も丁寧に確認して下さい。
入居者検査で一番多く指摘されるのが、このクロスの傷です。専用の接着剤で見た目が分からないほど綺麗に補修出来るので、家全体を隅々までチェックして下さい。
コンクリートの躯体に直接貼り付けているので、タイルに割れが見つかると、コンクリート自体にヒビが入っている可能性が高いです。躯体のチェックにもなるので、ベランダや共用廊下側から外壁タイルをチェックして下さい。
洗面脱衣室編でも触れましたが、水廻りや窓、建具の外部側には防水のためのコーキングがしてあります。このコーキングは劣化するので入居後も確認が必要となります。施工ミスの多い箇所でもあるので、穴が空いてないか、端部で切れてないか確認して下さい。
入居者検査の前に、施工した建設会社は自主検査をしています。そこで出た補修箇所を全て直し、設計事務所による監理者検査もしているマンションが多いと思います。
このようにダブルチェックした上で入居者による検査があるのですが、そこで補修箇所が10ヶ所以上あるようでは、上記のダブルチェックがあまりされていないと判断出来ます。
入居者検査のチェックポイントで示した事項は全て確認する自信がないという方にオススメの検査箇所があります。
それは「壁紙クロス」の引っかき傷や破れです。
貼った時点では何も傷がありませんが、その後傷が出来るという事は色々な補修箇所があったと判断出来ます。
したがってまずはクロスに傷がないか集中してチェックして下さい。
その後、目も慣れてくるので床や器具のチェックに進むことをオススメします。
30年ローンで一生に一度の大きな買物です。妥協せずチェックして下さい。