ベンチプレスで100kgを挙げたいシリーズも7回目となりました。
1回目でセットの紹介をしましたが、8回×2セットの1種類のみでしたが、これは大多数の人に合う方法として上げた例であって、他にも色々な方法が存在します。今回のシリーズではそれ以外の方法を紹介したいと思います。
まずは復習の意味で1回目に紹介したセットの方法です。メインセットで8回がギリギリ挙げられる重量を2セット行います。
8回というと、筋力アップと筋肉育成のバランスの取れた回数となります。パワーリフティング界の名選手であり名指導者でもある吉田進氏が著した「パワーリフティング入門」でこの理論を裏付ける記述があります。
「8回やっとできる重さで」
アメリカの運動生理学者が学生を何グループかに分け、それぞれのグループに対して異なった回数(レップス)をこなすウエイトトレーニングをある一定の期間行なわせ、筋肉の発達度を各グループごとに比較したことがある。その結果、1セットにつき8回やっとできる重さでトレーニングしたグループの筋肉の発達度が一番大きかった。
パワーリフティング入門より引用
どの方法でも共通ですが、メインセットをする前にその日の最大筋力が発揮出来るように、ウォームアップセットを行います。具体的にセットを組んでみると
1セット目(ウォームアップ1):60kg×8回
2セット目 (ウォームアップ2) :80kg×5回
3セット目 (ウォームアップ3) :90kg×3回
4セット目(メインセット1):100kg×8回
5セット目(メインセット2):100kg×8回
ウォームアップは40~50kgを1セット目にやっても良いかもしれません。このようにウォームアップを3~4セットこなし、メインセットでは100kgを8回で2セットクリアする事を目標とします。
メインセット1回目が8回クリア出来て、次のセットまで5分以上休んで体力の回復を待ちます。
ボディビル的なトレーニングだとインターバルをあまり取らずにやる場合もありますが、ベンチプレスの重量をアップさせる為のトレーニングの場合はメインセット2回目の成功率を上げる為にインターバルは長めに取った方が良いと思います。
メインセット1回目に8回が挙がり、インターバルをとった後にメインセット2回目を行います。メインセット1回目で力を出し切ると、インターバルをとってもメインセット2回目では1回目を上回る事はまれです。
2回目が8回出来なくても、何度か挑戦しているとクリア出来る時が来ます。ところが何度挑戦してもクリア出来ない時は思い切って1週間ほど休み、メインセットを10kg位落として、積み上げていけばクリア出来るでしょう。
メインセットが2セットとも8回クリア出来たら、次回は2.5kg増量してまた8回×2セットクリアを目指します。
メインセットが8回だと多く感じる人もいるかもしれません。5回位が力が出し切れて丁度良い方にとっては5回を3セット行うことを目指します。
5回というと、筋力アップと筋肉育成のバランスでいえば筋力アップの比率が多少高くなる回数となります。
8回×2セット法に比べるとメインセットにかかる時間が少し長くなります。具体的にセットを組んでみると
ウォームアップ(3~4セット)
メインセット1回目:100kg×5回
メインセット2回目:100kg×5回
メインセット3回目:100kg×5回
チャンピオンクラスのベンチプレッサーでもこの方法を採用している方もいるので、この方法が合えば試してみる価値があります。
8回は筋肥大に効果的と言われますが、5回は筋力アップに効果的と言われます。その為この方法を採用する場合は8回以上こなす補助種目も必要になります。
個人的には高重量を扱うスクワットやデッドリフトに対してこのセット法が合っていると思います。
5回×3セット法よりも更にメインセットに時間が掛かります。3回というと、筋力アップと筋肉育成のバランスでいえば筋力アップの比率が高いので、筋肉育成には不向きの回数となります。
メインセットは低回数の方が良い方もいるので、時間が掛かっても効果的な方法でやりたいという人向けでしょう。具体的にセットを組んでみると
ウォームアップ(3~4セット)
メインセット1回目:100kg×3回
メインセット2回目:100kg×3回
メインセット3回目:100kg×3回
メインセット4回目:100kg×3回
メインセット5回目:100kg×3回
メインセットが5セットクリア出来る場合はメインセット3回目位まで余裕があるはずです。やろうと思えば5回位は出来る実力があると思います。
そういう場合は3回以上出来ても3回で抑え、5セット目にクリア出来る余力を残すと良いです。
また、ベンチプレスやパワーリフティングの公式試合に出る方はベンチプレスのルール上、バーベルを胸で1秒以上止める必要があります。
そういう競技としてのベンチプレスをやる場合は、ベンチプレスを止めて8回はなかなか出来ないので、3回止めて行うメインセットの方が良いと思います。
競技志向でない方も低回数なので、あまり反動を使うようなベンチプレスではなく、1回1回に力をぶつけるようにした方が良いでしょう。
個人的には8回×2セット法が自分に合っていたので、長らくこの方法でメインセットをしていましたが、最近止有りをやる事が多いので、その場合は3回×5セット法で丁寧なベンチプレスを心がけていました。
今回の記事では同じベンチプレスのメインセットでも複数の方法があるという事を紹介させて頂きましたが、まずは自分でメインセットを試してみて、自分に合ったセット法を採用した方が良いですね。
今まで合っていたという方法でも加齢による肉体や体力の変化もあり合わなくなる事も想定できるので、ピリオダイゼーションの意味も含めて数ヶ月単位でメインセットの方法を変えてみると、停滞なくベンチプレスの最高挙上重量も伸びていくと思います。