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木村政彦vs力道山 なぜ力道山は木村政彦をKOしたのか?

フリーランスのYas(@yaschiich)です。

個人事業主として在宅勤務17年の経験や、健康に役立つ筋トレ情報、その他個人的な興味ある事を発信していきます。

以前、木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのかという本の書評を書きました。

その書評でも書きましたが、今になって引っかかる点はなぜ力道山選手は木村政彦選手(以下選手略)をKOする必要があったのかという事を具体的に書いていませんでした。

今でもたまに木村政彦VS力道山の動画を見るのですが、思うことはいつも同じです。

力道山というプロレス団体の大エースと、柔道日本一ともいえる全日本選手権13年連続保持の木村政彦の世紀の一戦が戦う場合、RIZINやUFCのような格闘技の試合ならともかく、プロレス興行という事ならば一方的にどちらかがKOするというのは考えられません。

そのKOの仕方も顔面を拳で殴ったり、掌底、張り手、後頭部の踏みつけ、顔をしたから蹴り上げるなど、初期のUFCよりも凄惨な攻撃を一方的にし続けました。

通常ならば逆さ抑え込みやリングアウト勝ち等、アクシデント的な勝ち方でどちらかが勝てば、次戦は相手が勝つというようにすれば全国各地で大盛況の試合となった事でしょう。

結論から言えば木村政彦がプロレスの試合を真剣に取り組んでいない点や、プロレスのセオリー通りの動きをしていない点に力道山が試合中にフラストレーションを感じ、最後の木村政彦の金的蹴りが引き金となって一気にキレてしまったという事です。

それでは動画でその点を検証していきましょう。

木村政彦vs力道山 1954 Part 1

まずは0:20あたりの動画を見ていただきたい。

木村政彦が上半身でチョップのデモンストレーションをしてますが、その上半身のビルドアップぶりが伺いしれます。試合中は力道山と並ぶと小さく見えますが、格闘家として鍛えられた肉体です。

肝心の試合ですが、3:30からロックアップから始まります。

この点はオーソドックスな始まりで特に違和感はありません。

注目すべきは5:08の木村政彦の動きです。力道山が寝技で木村政彦の首を固めます。それに対し木村政彦は倒立をして逃げるのは良いのですが、倒れた先にロープがあってそちらに倒れたので足が引っかかってドタバタ感が出ています。

05:24に力道山が木村政彦の片足を取りますが、木村政彦は踏ん張って倒れずに力道山に後ろから抱きついたままです。

これはプロレスの動きであれば木村政彦はそのまま後ろに足を取られて倒れます。そこを力道山が足首固めやその他寝技で攻めるのがオーソドックスな展開ですが、後ろに抱きついていては見た目にもユーモラスだし、次の展開に進めません。

06:10から力道山は木村政彦をボディスラムで叩きつけ、そこから寝技の攻防に入るのですが、木村政彦がカメのように防御していたのでそこから進めず、力道山が仕方なくパワーボムのように抱えあげて、最後リングサイドに下ろします。

プロレス流の寝技の攻防なので、読んで字の如く攻める展開、攻められる展開を交互にやって欲しかったのですが、木村政彦が耐えたので、格闘技の試合とすれば膠着状態はありますが、あくまでプロレスなのでお客さんに攻防を見せなければなりません。

7:00からはスタンドでお互い腰を引いて組み合ったまま膠着してしまいます。そして9:00ごろ力道山は木村政彦をボディスラムで投げた後に木村政彦が下から顔を両足で蹴り上げる仕草をします。

この後も何度か下から蹴り上げる動きをしますが、これは力道山のように上になっているものが下からの蹴りで歯や鼻を折ったり、顎に入ってもダメージを受けます。プロレスの場合は大胸筋やお腹など怪我しない鍛えられる部位に打撃を入れても良いですが、目や鼻、歯など故意に入れてはいけません。

9:12に木村政彦が力道山に左の一本背負いを掛けますが、力道山もそれまでのストレスからか通常ならば投げられる背負投げも付き合いません。

木村政彦vs力道山 1954 Part 2

0:34には力道山が得意の空手チョップのムーブに入ります。

そこでは通常ならば一発受けてリング下にエスケープすればスムーズなのですが、木村政彦はこれを受けずに防御姿勢に入ります。

この防御姿勢ももっと大げさにやれば盛り上がるのですが、必要最低限の動きで逆に打つぞという動きを入れるので、この時点で力道山はかなりストレスが溜まっている事でしょう。

1:07には力道山がフロントチョークのように首を抱えます。

ここで木村政彦はプロレス流に力道山のボディを叩いたり、エスケープするなど動きを入れれば良いのですが、じっと耐えて硬直しています。たまに客席を映しますがあまり盛り上げっている様子は見えません。

2:17。ついに運命の瞬間が来ます。木村政彦が突然力道山の股間を蹴り上げます。

その瞬間、力道山は単純に急所攻撃に対して怒ったのではなく、オーソドックスなプロレスのムーブをしない(出来ない)、力道山の攻撃を受けない(セールしない)、下から蹴り上げる、股間を蹴ってくるという複合的な要因が積み重なって、思わずキレてボコボコにしてしまったのではないかと思います。

もしも格闘技の試合として戦っていたら

プロレスの試合のブック破りをしたから力道山が勝ったという見方が多いと思います。

しかし力道山は当時30歳の肉体的に全盛期。大相撲出身という事でグレコローマンの選手と同様、裸で組み合ったら、体力が衰えてきた37歳の木村政彦にはテイクダウンは難しいと思います。

打撃ですが、力士は張り手攻撃が上手いので、グローブを付けていたとしても打撃力はかなりあったと思います。

木村政彦も空手やボクシングを習得していたので、打撃の攻防は五分だったと思います。

寝技では問題なく木村政彦の圧勝だと思いますが、テイクダウン出来ないので寝技の攻防には至らなかったと思います。

結果的には膠着状態でドローになったと思います。以前は6対4で木村政彦が有利だと考えていましたが、今の考えは五分が適当だと思います。

まとめ

僕は弱いながら柔道の黒帯を持っているので、木村政彦に判定びいきしたいし、強さは自伝で十分に知っています。

しかし力道山も大相撲出身という事でアスリートとしても格闘家としてもガチで強かったと思います。

今回の記事で木村政彦を非難しているように見えるかもしれませんが、氏の柔道の実力は格闘家として超一流です。

しかしプロレスに関しては自伝でも木村政彦本人が100%八百長の世界と名言しています。

確かにプロレスはショーマンシップ、エンターテイメントの面もありますが、力道山やアントニオ猪木を見ているとガチの実力があった上でプロレス的ムーブメントをしているし、根本は戦いという事があるので、決して試合中も気を抜いたことはしません。

初代タイガーマスクが良い例で、プロレスの練習ではガチンコのスパーリングを藤原喜明らと共に行い、キックボクシングのジムで練習して本物の打撃を身に着けた上でタイガーマスクとしてのサマーソルトキックやプランチャなど試合で使って、プロレスのムーブメントを完璧にしていました。

ショーマンシップとは格闘技やアスリートとしてのパフォーマンスをプロレスの中で発揮する事で、相手を倒す技というよりも、見栄えの良い技を懸命に自身の運動能力を駆使して行う事です。WWEの選手を見てもレスリングで金メダルを取ったカート・アングルのようにレスリングの動きを随所に見せつつもプロレスラーとしてのムーブはしっかりとやっています。そして新たに金メダリストの発掘にも余念がないようです。

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木村政彦がプロレスをどう捉えていたかという点で、プロレスのムーブを覚えずに、セールもしない点は力道山以上にプロレス歴のある木村政彦は明らかにプロレスの練習不足です。

セールしないと書きましたが、力道山とタッグチームを組んで、シャープ兄弟との対戦では木村政彦が何度も負け役になっていたのが気に食わなくて、力道山との対戦ではセール(技を受ける事)しなかったと思われても仕方ない位、この試合ではセールしませんでしたが、このセールというのはプロレスの試合が成り立つ為にも重要な行為です。

以前、タイガーマスクがレス・ソントンという選手と戦い、レス・ソントンがタイガーマスクのフィニッシュ技にもダメージを受けたそぶりをみせる事なくリングを降りようとしたので、それに怒ったタイガーマスクがハイキックを決めてダウンさせたことを思い出しました。

柔道の練習に注いだ何分の1かでもプロレスに情熱や練習をしていたら、きっと一流の柔道家だった木村政彦はプロレス界でも名を残したでしょう。

アントン・ヘーシンクやルスカは結果的にプロレスで成功したとは言えないので、プロレスにかけた情熱の低さという点では共通しています。

一方坂口征二や長州力は日本一やオリンピックにも出場するほど競技の実力はピカイチですが、競技的なものをリセットしてプロレスを修行したからこそ、プロレスラーとしても大成したと思います。

プロレスラーの場合、団体にはエースがいて、その2番手、3番手がおり、中堅、ベテラン、若手というようにヒエラルキーがあります。

日本プロレスでは力道山が絶対的なエースであり、その2番手に豊登、遠藤幸吉、吉村道明というようにベテランが控えていたので、木村政彦も吉村道明のようにサポート役に徹していれば良かったと思います。

木村政彦は身長が170cm程度だったので、団体のエースとしては小柄でした。自分でプロレス団体でも開かない限り、2番手、3番手以降となっていた事でしょう。

2番手、3番手以降ならば団体のエースとの対戦ならば徹底的に技を受けないと前座レスラーに成り下がるか、早期退団を余儀なくされます。

結論として、力道山がなぜ木村政彦をKOさせたのかというのは、プロレスの試合として大事な技を受ける事もせず、プロレスラーとしての仕事をせずに下から蹴り上げたり、急所攻撃してきた木村政彦に対して、しっかり仕事しろよという心の叫びがあのような力士式のガチ張り手や顔を蹴り上げるなど『かわいがり』に繋がったのではないでしょうか。

柔道側から見たらプロレスという八百長の世界で木村先生は騙されたと感じるだろうし、プロレス側から見たら聖なるリング上でプロレスを甘く見た木村政彦を力道山が制裁を加えたと捉えるでしょう。

もしも木村政彦が初めから力道山の空手チョップを胸で受け止め、力道山の動きに合わせてテイクダウンを取られたり、投げられたりしていればそこは力道山もプロですから、木村政彦の技を受け止め、セールをしてくれて、KOされる事もなく通常のプロレス技の範疇で試合は成立したことでしょう。

それが今回の記事で一番言いたかったことでした。

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